「欧米」が一つではないことを知って欲しい。

泥沼化しそうなEUとアメリカの関税対決


こんにちは、コームナタ編集長のakiです。



今日取り上げるニュースはこちらです↓

「US threatens tariffs on EU beer, gin and olives (アメリカはEUに対してビールやジン、オリーブに関税を課すと警告した)」(2020年6月25日、BBC)https://www.bbc.com/news/business-53176002


実は、米中貿易戦争が激化する中でもう一つの「戦場」となっているのがヨーロッパです。「え?欧米っていつも一緒にやっているし、今回も一致して中国と対峙するんじゃないの?」と思っている方もいるかもしれません。

しかし、実際には欧米は一体とは言えません。通信機器メーカーHuaweiへの態度一つとっても大きな隔たりがあります。アメリカでは昨年の時点でHuaweiの新商品の発売を禁止してGoogleプラットフォームの提供を中止、一方でEUではその直後にHuaweiの新商品が発表されました。Huaweiの5G技術を使用する予定のイギリスでは、今回のコロナ渦を経てこの技術を使わない方向に動いているというような報道が日本ではなされていますが、シンクタンクの警告にもかかわらず政府の公式な計画撤回には至っていないことから、イギリス政府としては現時点でも可能であればHuaweiの5G技術を使いたいと考えているのではないかとも思えます。



そうした状況の中で始まったのが、関税をめくる対立です。



今回のアメリカによる対EUの関税措置は、EUからの輸入品にかけていた15%の関税を25%に一気に引き上げるとしています。さらに、アメリカはフランスの航空機メーカー・エアバス社に優遇措置をしていましたが、これがエアバスのライバル会社でアメリカに本社があるボーイング社との間の競争に不当に有利に働いているとして、この優遇措置を停止することも警告しています。


EU対アメリカなので、イギリスは含まれていませんが、イギリスが抜けてもEUは全体として非常に重要な経済圏であることに変わりはありません。アメリカは実際にはまだ関税をかけていませんが、アメリカ第一主義であるトランプ大統領が率いるアメリカ政府がこのような「取引」で手を引くとは思えません。



そして今月6日、EUの貿易大臣は「もしアメリカが関税をかけた場合には『決然と』対応する(2020年7月6日 BBC https://www.bbc.com/news/business-53309937)」と述べ、報復措置を警告しています。もしこのような事態になれば、アメリカ・中国・EUという世界の主要な経済圏で貿易戦争が同時多発的に発生することになり、間違いなく日本も打撃を被ります。そして「欧米」の政治的なつながりに決定的な亀裂を生みだし、経済以外にも様々な影響を及ぼすでしょう。



「欧米」が一つになって世界の問題に対応してくれるという甘い幻想を捨て、これから欧米の様々な動きに注目する必要があります。



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