TPP 黒い条約 中野剛志 編
TPP 黒い条約 中野剛志 編 集英社 2013年
異端の官僚をはじめとする多様な文筆家たちによる新自由主義に対する警告
アメリカの離脱によって国内での注目度は大きく下がったが、以前はマスコミも大きく取り上げ国内でも様々な論客が多様な意見を開陳していた。ただ、多くのメディアにおいて論客が政府のTPP参加の姿勢を擁護していた。そんな中、毅然とした態度でTPP参加への反対論を主張していたのが本書の著者である中野剛志氏である。あるテレビ番組の中で、アナウンサーが提示した情報に対して声を荒げて反論し話題になったこともある。
新自由主義的思想から、市場の自由を優先し国益を損なう政策に対してマスメディアで反対することのできる論客は少ない。中野氏の著者は今後も紹介していく予定だが、今回の「TPP 黒い条約」はこの中野氏の考えに近い様々な論客がそれぞれの立場からTPPの問題点について分析し、反対意見を述べている。特に、貿易協定における紛争解決手段についての取り決めであるISD条項についての岩月弁護士の主張は必読である。コロナウイルスの影響でグローバル化の功罪が明らかになった現在、今一度考えてみるべきではないだろうか。
序にかえて 中野剛志
第一章 世界の構造変化とアメリカの新たな戦略―TPPの背後にあるもの― 中野剛志
第二章 米国主導の「日本改造計画」四半世紀 関岡英之
第三章 国家主権を脅かすISD条項の恐怖 岩月浩二
第四章 TPPは金融サービスが「本丸」だ 東谷暁
第五章 TPPで犠牲になる日本の医療 村上正泰
第六章 日本の良さと強みを破壊するTPP 施光恒
第七章 TPPは国家の拘束夷であるー制約されるべきは国家か、それともグローバル化かー 柴山圭太
※画像はAmazonから引用
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