21世紀のスプートニクショック

ロシアが新型コロナのワクチン1番乗り!


こんにちは、コームナタ編集長のakiです。


世界を揺るがす新型コロナウイルスの感染症。その大きな転換点となる出来事が昨日起きました。それが、ロシアが世界で初めてこの感染症に対するワクチンの開発に成功し、そのワクチンを公的に承認したと発表したことです。

そのワクチンの名は「スプートニク5号(спутник V)」です。私は医者ではないのでワクチンの詳しい効用や医学的なリスクの話はできません。しかし、なぜこの世界初のワクチンの名前が「スプートニク」なのか。しかもなぜ1号ではなくて「5号」なのかということを解説したいと思います。



スプートニクはロシア語で「衛星」という意味で、ロシア(正確にはソビエト連邦)とアメリカが冷戦のさなか激しい宇宙開発競争を繰り広げていた頃、ロシアげ打ち上げた宇宙船に付けられていた名前です。

当時のソ連は宇宙開発競争でアメリカに一歩リードしていました。スプートニク1号から4号までは様々な実験目的に作られ、有人飛行を想定してはじめてつくられて宇宙船こそ、スプートニク5号です。この宇宙船は最初に犬を乗せて地球を飛び立ち、地球の周りをまわって帰ってきました。これは生命体が地球を周回した世界で初めての事例で、この成功が「地球は青かった」で有名な世界最初の宇宙飛行士・ガガーリンの宇宙飛行へと繋がります。






その後ソ連は崩壊し、アメリカ一強時代に突入。最初に人間を宇宙に送り出したソ連・ロシアも完全にアメリカに後れを取りました。しかし、アメリカの地位も中国の台頭で揺らぎ始め、いまは世界の中でもっともコロナウイルスに苦しめられています。

そして世界各国でワクチン開発競争が進む中で、他の国をおさえて圧倒的速さでワクチンを承認までこぎつけたのがロシアです。ほぼ全世界が同時に打撃を受けているいま、コロナ危機を最初に抜け出した国がこれから世界の中でリーダーとなる、つまり21世紀の覇権を獲りかねない状況にあります。その状況下で、世界最初のワクチンに「スプートニク5号」の名前を付けたことには重大な意味があります。



もちろん、宇宙に生命体を最初に送ったことになぞらえていることは言うまでもありません。国営放送ロシアTVでは、ウイルスに汚染された地球の周りをワクチンが周回して、だんだんと地球がもとの形を取り戻すという笑えないジョークのような映像まで作られています(その映像はこちらのURLから https://www.youtube.com/watch?v=2pc83fRa3RU )。

しかし、宇宙船スプートニク5号の実験の後に宇宙開発で頂点を見たロシアからすれば「21世紀の覇権はロシアが獲る」といった意気込みまで含まれていると考えるべきです。かつての「ロシア帝国」の復活を夢見ているプーチン大統領のことを考えれば、そこまでのことを考えて名前を付けているでしょう。




いずれにしても、いままでは国際協調の名の下で隠されがちになっていた国家の覇権への欲望がもはや駄々洩れになっています。やはりこのコロナウイルス感染症の拡大とワクチンの開発はある種の「戦争」であると言わざるを得ないのではないかと思います。

米中の対立が深まる中、ダークホース的に一気に出てきたロシアのワクチン開発のニュース。やはり、ロシアは軍事大国です。

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