「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉 原丈人
「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉 原丈人 2017年 文芸春秋
現代世界を生きる我々が目指すべき「公益」資本主義をパイオニアが徹底解説
帯に大きく日本が新しい経済ルールをつくると銘打つ本書であるが、著者はベンチャー事業投資家で、政府の有識者としても活躍されている原丈人氏である。多くの日本人が資本主義の理想形としてイメージしている英米型の資本主義について、筆者は確かなデータと長年の経験から鋭く批判を展開し、日本が今後目指すべき「公益」資本主義のあり方について具体的に提案している。
日本型の経営システムなどの目先の制度を経済の低迷の理由にし、今まで様々な構造改革が行われてきたが、そのうちの一つが英米型の株主資本主義への転換である。株式会社は文字通り株主の利益を第一に考え、従業員や社会への還元の優先順位が低い資本主義システムである。
これに対して著者は、会社は社会の公器であるという日本の従来からある考え方を、「公益」資本主義として、現代の制度に適応するように提唱している。四半期決算の廃止や長期保有株主の優遇、社外取締役制度の見直しといった制度改革を通して、格差を是正し社会全体が豊かになるルール作りを日本が率先して行うべきだという主張である。コロナウイルスの影響で、世界中で経済格差が浮き彫りになる今だからこそこの本をお勧めしたい。なお最後の章では京都大学大学院の藤井聡教授との対談が掲載されており、これもぜひご覧いただきたい。
著者が最高顧問を務める公益資本主義推進協議会のURLを以下に記載しますので興味のある方は見てみてください。
【https://picc.or.jp/greet.html】
「公益」資本主義 英米型資本主義の終焉 原丈人
はじめに
1章 グローバリズムの終焉
2章 日本と世界を滅ぼす株主資本主義
3章 アメリカでアメリカモデルの限界を知る
4章 公益資本主義とは?
5章 公益資本主義12のポイント
6章 公益資本主義・実践編―モノづくり最適国家の実現
7章 対談 GDP600兆円実現のために 原丈人・藤井聡
あとがき
※画像はAmazonから引用
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